イタリア買付道中記

イタリアが好きで好きで飛び込んだのは1996年の事でした。 行った場所はシチリアの田舎町。 当時はまだインターネットが普及していない頃だったので日本とのコミュニケーションはおろか事前に情報を得るのは大層困難でした。

ホームステイという形でシチリアの村に暮らし始めるも、現代のように日本の存在すらほとんど認識されない希薄な雰囲気の中で、言葉もままならない状態での生活は、自身を内に内に追い込んでいくような厳しさがありました。

そんな私を手探りながら支えてくれたのがシチリアの家族とその友人達でした。
五感をフルに使い、いっぱいいっぱいで日々を過ごしていた私にはその優しさが染み入るように伝わってきました。 そして家族を囲む食卓にはマンマが作ってくれた地味深く、染み入るように美味い家庭料理の数々がありました。

あぁ、これがイタリアの食卓の味なのかと圧倒されたことは今でも忘れません。

帰国して数年。美味しくて元気になれるような、そんなイタリアの美味をどうしても伝えたいという思いは脳裏を離れず、ついに起業することになりました。

それまでの仕事とは無縁で、知識も経験も無い故に降りかかるアクシデントは数知れず。
気持ちだけ前のめりの稚拙さ全開ですが、一歩ずつ生産者を訪ねていった旅の日記です。
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