スローフード協会が保護選定した塩田
遠く紀元前、地中海の民フェニキア人が見出したトラパニは“風・気温・湿度”の3要素が全て整った
塩作りの理想の地。
今も職人の手による伝統的製法により作られつづけるその見事な味は世界中に広く知られてきました。
この塩田が昨今減少したのは、天変地異にも増して世界的規模で広まった工業化の波によるもの。
その価値を再確認し守るべき貴重な塩田としてシチリア州、スローフード協会が保護選定し
WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)が自然保護地域として管理するに至りました。
塩田の歴史と製法
塩田は紀元前700年にフェニキア人によって発見され、紀元1200年にはアラブ人によって改良され、
より純度の高い塩作りが完成しました。アラブ人は、海水が蒸発して自然にできる塩には不純物が含まれることに
気づき、重金属などの有害な成分を取り除く工夫を施しました。
塩作りの工程では、まず海水を塩田に引き込みます。
昔は風車で動かしていた「Spira di Archimede:アルキメデスの螺旋」
という装置を使って海水を移動させます。(現在は電動)
海水は高さの異なる複数の槽(そう)を順番に通過しながら、塩分濃度を高めていきます。
塩田の各工程
1. FRIDDE槽(最初の工程)
潮の満ち引きによって海水を引き込みます。

2. CULTIVO槽(海水の移動)
アルキメデスの螺旋で海水を引き入れ、塩分濃度を調整しながら隣の槽へ流します。

3. CAURE槽(「母なる水」の生成)
ここで特定の藻や微生物が繁殖し、塩の品質に関わる。
Dunaliella Salina:ドゥナリエッラ・サリーナ(藻):βカロチンを多く含み海水をオレンジやピンク色に変える。
Artemia Salina:アルテミア・サリーナ(小さなエビ):この藻を食べることで体内にβカロチンを蓄積。
Fenicottero Rosa:フラミンゴ:このエビを大量に食べるため、ピンク色になる。



4. SALANTI槽(結晶化)
5月から9月にかけて塩分濃度が高まり、塩が結晶化。厚さ15cmほどの層ができる。
塩の下にはミネラルを豊富に含んだ泥や藻があるため、それらを避けて塩を採取し、保管する。

塩の加工と種類

こうして作られた本商品、Sale Marino Artigianale:サーレ・マリーノ・アルティジャナーレは風車を使って挽き、
少し大きめの細粒か粗粒の2種類ができるのですが、所謂サラサラの細粒はございません。
その理由は固結防止剤を添加しないからで、この点について少し補足します。
サラサラ、にするために使用されるのがAntiagglomerante:固結防止剤という添加物。
これを添加することで塩の粒と粒が引っ付きにくくなってさらに細かくすることができます。
さらに不純物(塩田の小石や藻などの海藻)を取り除くためにいったん出来た塩を洗浄した後
乾燥機で乾かしたものに固結防止剤をいれることで白くキレイでサラサラとした塩ができるわけです。
もちろん、洗浄工程を経ることでミネラル分も洗い流されてしまいます。
見た目も扱いやすさも良いのでRAFFINATO:ラッフィナート(リファインされた)という風に呼ばれたり
さらには失ったミネラル分を補うべくヨウド分を添加したIODATO:イオダートというものも存在します。
しかしながら、やはり本商品のように太古の昔から大きく変わること無く作り続けてきたものの方が塩味やミネラル
といった味覚分野、化学組成においても優れているという事がむしろ現代になって再評価されているようです。
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FINO(細かい) 目の細かいタイプ サラダ、ドレッシング等、オールマイティに使いやすいタイプです。 天ぷらの仕上げにも最適 |
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GROSSO(粗い) 目の粗いタイプです。 魚・エビの塩焼き、ステーキ等ガリッとした粒の大きさが味にメリハリをつけてくれます。 |
品名 | トラパニ産天日塩 |
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名称 | 塩 |
原材料 | 海水 |
内容量 | 1kg |
保存方法 | 直射日光を避け、冷暗所に保管して下さい |
原産国 | イタリア(シチリア州) |
自然ゆえに
自然の力を最大限に利用して作った昔ながらの天日塩で、特に洗浄工程やサラサラにするための
添加物を加えたりなどという工程は経ていません。
それゆえに旨味を感じられる良さがあるわけですが、それゆえに
・まれに海藻等の有機成分や粘土が混ざっている場合がある
・サラサラではないので湿気により固まりやすい
ということがありますので、あらかじめご了承くださいますよう、お願い申し上げます。
(不純物は簡単に取り除けますし、固まったものは簡単に砕けます)