シチリアの朝はけたたましい位に鳴り響く近所の教会(だって至近距離:20m)の鐘と
やたらうるさいラジオか何かの音楽とププーと響くクラクションにたたき起こされる感じです。
クラクションの主は何ぞやと思い窓の外を見ると軽トラックに荷台を改造した移動グラニータ販売カーでした。
新聞配達が無い代わりにパンやグラニータの配達はあるのかと妙に感心。
見ていると
・近くの御婦人が上や下の窓越しから声をかけてオーダーし
・オヤジがグラニータをカップにほいほい入れたら
・息子がそれを窓近くまで持っていき
・窓から代金の入った籠を下ろして、そこにグラニータを入れてもらう
みたいな構図でした。
いいじゃないですか!
まぁ味はそこそこですが、何だかしみじみ良いシステムだなぁと。
薄暗い室内に差し込む日差しを感じながらグラニータとブリオッシュを黙々と楽しむ静かな朝。
シチリアらしくて大好きです。
さて、今日からRoberto:ロベルトの愛車プジョーを借りて約1週間の旅が始まります。
まず最初は陶器の町、S.Stefano di Camastra:サント・ステーファノ・ディ・カマストラに向かいました。
Catania:カターニアの旧市街に入る手前から高速に乗り、北上する形で頂点に位置するMessina:メッシーナを通過し、
逆三角形の形をしたシチリアの上(北)側を西に向かいます。
途中、右手に見える小さな島々はIsole Eolie:エオリア諸島。
一番大きなLipari:リパリ島・・・なんていいつつまだ行った事が無いですのでこの先に是非訪れてみたいところです。
ま、そんな時は仕事抜きでのんびりしたいなぁと。
さて、ほどなくサント・ステーファノに到着しました。
シチリアで陶器といえばCartagirone:カルタジローネかここかといわれるほど有名で、
個人的には淡いレモンイエローの優し目のイメージを持っていたのですが、
実際来てみるとそんな風でもなく、最近はもっと自由な色彩や形状のものが多く出回っていました。
街に入るとすぐにメインストリートとおぼしき通りがあり、その通り沿いにずらりと陶器屋さんが並ぶという感じです。
いくつかのお店を見ながら数点ほど買い求めました。
やっぱり買い物は楽しいですがさすがの暑さでしたので長居もせず1時間ほどで撤収しドライブ続行。
すぐ近くにTusa:トゥーサという小さな海沿いの町がありました。
かなり前衛的なデザインを施したホテルやらオブジェが点在していて、
アートを全面的に打ち出した町づくりとの事で少し立ち寄りました。
いろいろな事をちらほら思ったり感じたりして写真をパチリ。
で、ドライブに戻り、ずんずん走ってPalermo:パレルモをスルーして一気にTrapani:トラパニまで行きました。
四国より大きいシチリアをズバッと一気に横断したようなものです。
旧市街にある船着場の近くに宿を取りました。
え、それが駐車場っすか?と聞き返したくなるような狭い路地でタイヤをすり減らしながら切り返しを繰り返して
なんとかクルマを止め、古びた建物に入ると意外や意外、上手にモダンを取り入れて restauro:レスタウロ
(リノベーション)した宿で、エアコンバッチリ、お湯たっぷり、ベッドもしっかりとしていて至極快適。
しかも立派なキッチンが付いていてこれなら家族で連泊出来そうな仕様です。
シャワーを浴びて街に出るとすっかり暗くなっていて旧市街の町並みは美しくライトアップされ、
どこからともなく住民達が集まってはそぞろ歩く、そんな感じになっていました。
ほどなく歩いて辿り着くは今宵の食事処、ガイドブックにも良く出ている
Antichi Sapori:アンティキ・サポーリというトラットリアでした。
ここ数年は自分達だけで食事をする際は必ずといっていいほどガイドブックをチェックするようになりました。
ふらりと立ち寄ったお店がとても良かった・・・というのは最早過去のものになってしまったなぁと思い立ってからは、
ガイドブックを利用した方が良い思い出を作ることが出来る、とそんな風に感じています。
で、このお店、想像以上に美味でした。
キビキビと良く動き、説明も的確なカメリエーレも好感で、出てくる料理も良い塩梅で、
がっつりと出てくるボリュウムにも負けない食欲をかきたててくれました。
いいですねぇ、これぞシチリア!
・Busiate al pesto trapanese ブッシャーテ・アル・ペスト・トラパネーゼ
トマト、バジリコ、アーモンドで作るトラパネーゼと呼ばれるペーストをねじねじ状のロングパスタでいただく、
このあたりならではのパスタ。
・Cous Cous al bload di pesce クスクス・アル・ブロード・ディ・ペッシェ
北アフリカから影響を受けた粒状のパスタ、クスクスをシチリアでは魚のだしをかけて食します。
ほかにもいろいろと”ならでは”の料理があり、次回もまた来たいと思わせてくれる素敵なお店でした。
明日は久々のFavignana:ファヴィニャーナ島です。
続く。