Trapani:トラパニ・・・最近ではトラーパニという言い方のほうが通じるようになったきたように思います。
時代と共に少しずつ本格的な表現が伝わるようになってきた、そんな感じでしょうか。
ともあれ、トラーパニはシチリアのみならずイタリアで最も有名な塩の生産地として知られたところです。
ひょんな事で知り合った、イタリア・スローフード協会シチリア支部のFranco Sacca':フランコ・サッカ氏の
紹介で知り合った
Consorzio Sale Marino Artigianale:コンソルツィオ・サーレ・マリーノ・アルティジャナーレ
今なお、伝統的製法によって作り続けている職人達の集まり、との取引が始まったのは3年前です。
もう在庫も少なくなり、いい加減オーダーしないとなぁと思い、連絡をとり始めたのは7月でした。
が、メールを書いてもFAXを送っても返事がない、TELしても誰も出ない、
なんて具合で時間ばかりが過ぎていく始末。
「Consorzio:コンソルツィオ(組合、協会)って何やらややこしいのかしらん??」
と感じていたものの、日本からとりたてて何かを出来るわけではないのでここはひとつとフランコに
「チャオ、フランコ、ちょっとコンソルツィオってドウナッテルノ?兎に角、私を含めお客さんが心待ちにして
いるんだけど、なんかこうらちが開かないんだけど、どうすれば良い?」
っと訪ねたところ、あれこれとやり取りがあり、結果、
「じゃあ、Carmelo:カルメロという男に会うといいよ。彼が君の塩を作ってくれている生産者なんだ。」
という事で連絡先を教えてもらったのでした。
今回イタリアに来る前に何度かやり取りをした結果、取扱を継続する事ができるようになったのですが、
直接会ったわけではないので何となく居心地が悪い感じがしていたので、ちょっと遠かったのですが
無理やり足を伸ばしたのです。
・・・いえ、足を伸ばしてもらったのです。(トマトのフィリッポの運転で)
途中、ささっと昼食をとらねばならぬ、という事で立ち寄ったところが
Bar del Camionista:バール・デル・カミオニスタという定食屋のような所でした。
Camionista:カミオニスタ、とはCamion:カミオン(トラック)運転手の事を指します。
“トラックやタクシーの運転手が立ち寄る街道沿いの飯処は早くて安くて旨い”
という言葉は何も日本だけではなかったのです。
私もフィリッポも一通りの食事をし、食後酒やCaffe'まで飲んだのに
二人で30ユーロ程度でしたから大満足。
ホントはもう少しゆっくりしたかったけれど、何せ急ぎの旅です。
そそくさと食べてサッと店を後にしたのでした。
シャッカからトラーパニってそれなりに時間がかかります。
急ぎ足の工程だったつもりでしたが、それでもトラーパニに着いたのはもう陽が傾く頃でした。
Nubia:ヌビアという場所は、トラーパニの中にあっても特別な場所で、
・シチリア州、スローフード協会が保護選定し、
・WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)が自然保護地域
として管理している希少な塩田です。
ここにあるMuseo del Sale:塩の博物館が、塩の生産者カルメロとの待ち合わせ場所でした。
握手をし、改めて自己紹介などした後、これまでの顛末や今後の展開などいろいろと情報交換をし、
互いに一定の納得をするに至りました。
まぁでも、その時間たるや、ものの1時間程度だったかと思います。
話した内容など、すでにメールや電話でやりとりした事がほとんどだったわけですが、
でもそんな事よりも
“直接会って、面と向かって話をする”
事に意義があったわけですので、それだけで大きな収穫でした。
しかも実際に作っている本人が特定できたわけですから、
今後どんな展開になったとしても彼本人とのやり取りの中で解決していけるという術が見つかった
という事がとても意義のある事だったのです。
無理して(否、フィリッポに無理してもらって)はるばるやって来た甲斐があったというものです、ホント。
でもまぁ、これに限らずイタリアとのやり取りってこういう事が良くあるもので、
メールやFAX、電話で上手く解決できずに悶々と抱え込むような問題も、
実際会って話してみると、あっけなく解決してしまうという側面があったりするのです。
何やらかんやらでヤキモキする事一杯なのですが、最終的にはどうにかつじつまが合ってしまうというあたり、
これを現場主義といってしまえばあまりにも格好良すぎるようなそんな気がしますが・・・
というわけで、すっかり辺りが暗くなった頃、ようやく一日の予定を終え帰途についたわけです。
Belpasso:ベルパッソ(エトナ山の麓、友人宅)に着いたのはもう深夜でした。
およそ700Kmほど走った(というより走ってもらった)でしょうか。
フィリッポに礼を言って(でもまた明日・・・なんて言いつつ)別れ、家に着いた頃は
もうヘトヘトで食事もせずにベッドに倒れこみました。
また明日も早起きして、今度はModicaへ出かけねばなりません。
続く。