イタリア買付道中記 2004 その20

モッタ村のフィリッポ家を後にして向かった先は、シチリアのドルチェの街、Modica:モディカ でした。

 

Spinello...dolci pensieri:スピネッロ・ドルチ・ペンシエーリ

という名のお菓子屋さん。
ピアッティで取り扱っているハチミツお菓子「COBAITA:コバイタ」の生産者、
Tonino SPINELLO:トニーノ・スピネッロ氏が経営するお店です。


彼は私の実質的なビジネス・イタリア語?の先生なのです。
この仕事を始めて間もない頃は、仕事に使う単語、これまで使った事の無い
単語ばかりを並べるという事がホント、かなりの重労働でした。

「どういう書き出しで、どう終わっていいか?」

なんてサッパリわからないままに手探りで書いたFAXやメールの文章を
丁寧な返答で修正してくれていったのです。
そんな彼と直接会い、話し、製造過程を見せてもらうのが今回の目的。

親切にも、モディカに行く途中の街 Ragusa:ラグーサまで迎えにきてくれ、開口一番、

「ホテルもバッチリとってあるからチェックインする?でも、お腹へったでしょう?」

と来たので、

「そうですねぇ、兎にも角にも食べましょう♪♪」

なんて具合で既にお互いにリラックスモード。
一緒に食事しながら、

「○○なところが美味しいねぇ!」とか

「これは●●で美味しいけど、私はもう少し○○な方がもっと好きです。」

などと言い合うのは、お互いの感覚が掴め大切にしたい部分でしたし、
“より”前向きな感想を自分なりに述べる事で、私の思いを伝えたいと
思っていましたから、一緒に食事出来る事はとても重要でした。

この述べ方については以前、生活していた時に教わった事です。
まぁ、とはいってもあんまり頭が固いとイケナイので、あくまで“楽しく、美味しく”が基本です。

「美味しい!」

って言いながら食べるとホント、美味しくなりますから不思議なもんです。

たっぷり食べた後、彼のお店を見学に行きました。
白く清潔な製造所には整然と並べられた仕器や材料があり、
ピーンと張るような緊張感が漂っていました。


Artigianale:アルティジャナーレ、手仕事による、
ゴマ&ハチミツのお菓子 COBAITA:コバイタの製造過程を私の目前で見せてくれました。
(訪問した時期はオレンジピールが入手できない時期でしたので、これを除いています。) 

出来たてのコバイタを試食してみると・・・

「んん?いつも食べているものより少し香ばしさが強いみたいだけれど?
これはゴマやアーモンドのローストが強かったせいですか?」

と正直に伝えると、

「おぉ、良く言ってくれました!
ローストではなくてハチミツと砂糖を鍋で火にかけた時間によるんです。
仕上がり温度を表示した機械を写真に撮ったでしょう?
本当はその時点ですぐに火を止めないといけなかったんです。
仕上げの大事なポイントだと言った訳をわかって頂けたかと!」


彼は指摘に対して嬉しそうに答えてくれました。
かなり繊細な部分を指摘する事はとても勇気がいりますし、
結構トンチンカンな事を言って変な顔をされたり・・・
という場面も多くありますが、真剣にやり続けなければ前進しない部分なので、
汗かき、恥かきしながらも伝え続けています。

この場面も結構緊張しましたが、結果は吉と出たようです。
こういう大切な部分を実際に現地に行って顔を突き合わせながらやり取りする事は
彼ら生産者が望んでいる事だと改めて確認するに至りました。

続く。