イタリア買付道中記 2004 その17

Erice:エーリチェで紹介された男に、一日案内してもらい過ごしました。
Filippo SALERNO:フィリッポ・サレルノという男。
“トラパニの塩田”で“完全天日干し海塩”をつくっています。

 ←塩のフィリッポ

 ←Salinaio :塩職人

名前を聞いた瞬間、

「ううむぅ、またもやフィリッポか(笑)」

と思ってしまいました。
ピアッティのメルマガに登場する人物は“フィリッポだらけ”なのです(笑)

※整理しておきますね。
・モッタ村のフィリッポ:ホームステイ先のお父さん。中学の英語教師。
・トマトのフィリッポ :ピアッティの看板商品ドライトマトの生産者。
・塩のフィリッポ :今回初登場の天日干し海塩の生産者。

で、この“塩のフィリッポ”に“塩田”を見せてもらおうという事でした。
車に乗ってビューンと行くと、何やら見たような道の気配。
それもそのはず、昨年の買付旅行の際にひとり、ほっつき歩いて
熱射病になってまでして見に行った塩田への道。
※昨年の買付道中記はコチラ

「な、懐かしい!(感涙)今年はクルマであっという間なんて。。(感涙)」

Nubia:ヌビアという村にある塩田には名前が付いていました。
見学したのはchiusicedda:キウスィチェッダという名前の塩田。
その価値を再確認し守るべき貴重な塩田としてシチリア州、スローフード協会が保護選定し、
WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)が自然保護地域として管理するに至りました。
Vento e sole:風と太陽だけで作られる完全天日干し海塩は 、

7月15日頃より始まる約3ヶ月間。
海水(塩分3%程度)を地中海の風を利用してMulino:風車を回し

Spira d’Archimede:アルキメデスのらせんを使い海岸線の最寄の塩田に引き込みます

風と太陽で蒸発した海水は、その濃度を増し、隣の塩田へ移され、より濃度を増していきます。 

mamma del sale:塩の母 と呼ばれる結晶が出来始め

最終的に塩分24~27%に達するまで干上り結晶が大きくなります。

Salinaio:塩職人の手により掻き出しが始まります。 

ベルトコンベヤに乗せて地上に山積され、屋根(テラコッタが最良との事)を架けます。 

雨・風・埃を防ぎながら 一冬を越します。冬(3月頃)の間は塩田を耕し次の収穫に備えます。 

以上のような工程を経て出来上がる結晶は細かく砕く事で湿気を帯びる
のを防ぎます。 

フィリッポは言いました。

「これほど大切な塩田は、スローフード協会を始め多くの人に見守られるようにアピールする事も大事な事だ。
自分達の塩田だけにしがみ付いて減り行く塩田の状況を考えずに、独り言を言っていてはダメなんだよ。コウジ!」

フィリッポと名のつく男達はどうも皆、熱いのです。
肝心の味の点についても、実はエーリチェでのスローフード協会の催しでサンプルを試食して確認していました。
でも、

「ひと舐めして旨いと感じた海塩の味、はたして塩田で本当に採れたモノなのだろうか?」

とも思っていたので、塩田に落ちていた塩をすくって舐めてみました。

「ああぁ、ミネラルの味がする。苦味も少なく、本当に旨い海塩だ!」

と再確認するに至ったのです。
きっとこれを輸入しよう!
そう思いました。

続く。